マクロスΔとマクロスF、両作品を考察する

テレビ版の展開

どのような内容だったか

マクロスFの物語は初代マクロスとよく似ている、地球外生命体との接触とそれに伴う戦いがテーマになっています。超時空要塞マクロスでは後に共存の道を歩むことになるゼントラーディ人との闘争がメインになっていますが、今作では人間の形をしていない、まさに本当の意味で地球外生命体だった。名を『バジュラ』、かつてプロトカルチャーと呼ばれた文明を築きし種族ですら恐れた宇宙にその名を轟かす銀河の生物で、その気になれば星1つ捕食することすら容易いと言われるほどの生命体となっている。

加えてバジュラは成体ともなればマクロスのバルキリーに匹敵する戦闘力を持っており、加えて高い学習能力と環境適応能力もあって地球人側の攻撃に対抗出来るだけの自己成長をも出来る。作中では一時期こそバジュラを圧倒することもありますが、基本的に為す術がないと言われるほどに追い込まれて壊滅させられてしまったケースが展開された。見ていて、絶望しかないのではと一瞬見る番組を間違えたかと思ったくらいです。

事実として、物語は後半に行けば行くほど暗い雰囲気になっていき、妙にシュールな展開もあって色々とマクロスらしさが垣間見える作品となっています。そんなマクロスFですが、テレビアニメではどのように物語は進行していたのか、改めて見てみよう。

物語のあらすじ

前半

宛のない旅を続けるフロンティア船団、その移民船の中で生活していた早乙女アルトはいつか本物の空を飛ぶことを夢見る学生で、将来はパイロットとなるため目指していた。学友であるミハエル・ブランとルカ・アンジェローニに囲まれて学生生活を送っている。ある日、学校を介して人気歌手のシェリル・ノームのライブで演出に加わる事になるが、あまり乗り気ではないアルト。人知れず森の中で着替えていると、そこへ迷い込んできた1人の少女ランカ・リーと遭遇し、シェリルのライブにやってきた彼女を案内した。

夕方になってライブが開催されると、そこへ突如として宇宙生命体であるバジュラがフロンティア船団を襲撃、甚大なダメージを負ってしまう。渦中の中、アルトはバルキリーでランカを救出し、自分にも何かできると思って民間軍事会社であるSMSに入隊する。知り合って少しずつ理解しあうアルトにランカは背を押されて、自身の夢である歌手を目指す事になった。その一方でシェリルは自身が大切にしているイヤリングを無くした張本人としてアルトと接触するが、トップシンガーの自分に物怖じしない態度に興味を持ち、やがて惹かれていく。

一方ランカは応募したコンテストには不合格となるも、街中で歌っていたことがきっかけで芸能界デビューを果たす。兄であり、アルトにとって上官でもあるオズマの大反対を受けるも、なし崩しで堂々と歌手としての道を歩き出す。二人と交流するアルトは、確実に進行してくるバジュラとの戦闘を経験するも、その未知数な戦闘力に船団全域で不安が立ち込め始めるのだった。

学生生活を営みながら

宇宙生物との戦闘が繰り広げられる一方で、船団内でのアルト達の生活はごく普通の学生として過ごしている。最初見たとき、随分と平和的だなぁと思いつつ、迫り来る恐怖を感じていないのかといった点も気になりはした。ただこれも激化する中でも学生として過ごすことも重要な要素となっている。殺伐とした物語感にならずに済んだのは、軍人として過ごすアルト達が『学生』という立場を捨てていなかったことからも来ている。

前半までは程よくコメディ要素も取り込まれていたが、後半戦に突入した際にはものすごくギスギスとした展開になっていきます。

後半

激化するバジュラとの戦闘、フロンティア船団は超長距離フォールドアウトによってバジュラの活動圏から離脱する作戦を実行する。しかし船団内には既に多数のバジュラが巣を作っていたため、それらが孵化・成長を遂げたことにより大勢の犠牲を出してしまう。

戦いの中でミハエルの死に直面し、アルトはバジュラを友の敵として強く憎むようになる。その一方でランカは自身の歌がバジュラに与える影響により軍事利用され、自身が歌う意義を見いだせなくなっていた。その中でバジュラとの和解をするために単身バジュラ達の本星へと向かい、アルトとの決別を決意する。

一方、原因不明の体調不良で倒れていたシェリルは自身を冒す病によって余命幾ばくとない状況にあることを知る。休業中にランカの台頭で自身の人気は失墜し、行き場がない中でアルトとの距離を詰めていった。やがて戦況は大きく動き、SMSはフロンティア船団から離脱し、バジュラに関する真実を探るために情報を探し始めた。

残されたアルトはシェリルのため、そして自分に出来る誰かを守ることを為すために新統合軍へ正式に任官される。水と食料、そして酸素も減っていたフロンティア船団はついにバジュラ達の本星を発見、ランカと同様の力を覚醒させていたシェリルの歌を要としてバジュラとの最終決戦を挑むのだった。

後半は別の意味で

マクロスFの物語は後半に行けば行くほど、内容が暗くなります。大切な人を守ると同時に、人同士に埋めようがない溝を生み出しつつ展開していくので別の意味で泥沼だ。終盤に差し掛かる頃には限られた食べ物に水、そして酸素も無くなりつつあるなどの緊迫した状況まで追い込まれてしまう。

夢も希望もないと感じる一方で、こうした問題もリアルにあることを考えたら悪くない展開だ。同時に戦争がもたらす影響とはこうした点も意味しているので、より深刻に捉えられるように後付されている。

最終的には

結末では人類を理解できなかったバジュラがランカとシェリルの歌を介したことで人を理解し、戦闘行動を停止する。そして彼らの本星をフロンティア船団に委ねて別の銀河へと旅立っていったのだ。そしてアルトは望み続けていた本物の空を飛ぶという夢を果たし、シェリルとランカは恋敵という立場を改めて認識するという結末を迎えています。

選ぶどころかヒロイン同士が熾烈なバトルをしていくことを示唆するエンディングなのも特徴的ですが、この内容とはまた違った展開が別の映像作品で繰り広げられています。